リフォームコンパス

全面リフォームの見積りの見方

全面リフォームの見積りの見方

住宅の全面リフォームの費用がどのくらいかかるのは、リフォームを考える人にとってはとても興味深い問題です。

イメージを掴むだけであれば、インターネット上の様々なサイトにリフォーム事例が載っていたりしますので、その事例の家の大きさや施工内容をじっくりと見ていくと、なんとなくの費用は分かるかと思います。
ただし、自分の家の状態や希望する内容を考えた場合に、実際にどのくらいの費用がかかるのかとなると、リフォーム会社に見積りを依頼しないとなかなか分からないものではないかと思います。
特に、よく見かける部分リフォームと違って全面リフォームの場合は、見当がつかない、という感想を持たれる方が非常に多い様に思われます。

では、全面リフォームの金額が実際にどの様に計算がされるかというと、
それぞれの工事項目ごとに必要な工事内容がまとめられ、ひとつずつ計算されるということになります。今回は一般的によく見られる見積りの項目について、ご説明をしてみたいと思います。

・屋根工事
既存の屋根がどの様な状態かをしっかり調べてもらうことが必要ですが、使われている屋根材の種類によって工事内容は変わります。
スレート系の屋根材の場合で劣化がそれほどひどくない場合、塗装をすることができます。
一方、和瓦などは塗装ができず、ズレ直しやつなぎとめている漆喰の塗り替えなどが行われます。また、屋根ではなく屋上になっている場合には、防水工事がこれに変わって検討項目となります。
屋根材と同時に施工が検討されるのは、雨樋です。
樋の状態によって、塗装・取り替え等の選択肢が出てきます。

・外壁工事
外壁も状態や素材によって提案される内容は変わります。
最も一般的なモルタル仕上げの外壁の場合、既に塗装で仕上げられている場合にはひび割れ等を補修した上での再塗装が検討されます。
また、サイディング(焼き物や金属などのパネル材)によって仕上げられている外壁の場合には、パネルとパネルの間の止水コーキング剤の打ち替えを行った上で、外壁の再塗装などが考えられます。

・基礎工事
既存の基礎の状態が悪い場合には、補修や補強の提案がされる場合があるのですが、例えば1階部分の間取りを変更される計画の場合には、新たな壁の下に基礎を新設させる必要が出てきます。
例えば浴室の位置を移動させる様なケースでは、新規の浴室外周には通常基礎が必要とされますので、そういった費用が計上されます。
また、地盤や耐震面での対策などを目的として大がかりな基礎補強が計画されることがありますが、一般的にはかなり金額がかかる要素でもあります。
防湿を目的として床下全面にコンクリートが施工されることもあり、それも基礎工事に計上されていることがよくあります。

・木工事
木造住宅の場合には、特にメインの工事項目になりますが、鉄骨造など非木造の建物の場合でも間仕切りや造作は通常木材で施工されていることも多く、工事のボリュームが大きい項目のひとつです。
主に大工さんの工事に関する人件費から、使用する木材、木質建材、金物(耐震金物から釘やビスなども含めて)、断熱材などが計上されます。
下地の部材から仕上げのフローリングまで全般的に関わってくるため、例えば下地をどこからやり替えるかによって金額が大きく変わる可能性があります。
間取りを大きく変える場合などには、柱の位置を変更したり、壁の下地の石膏ボードの施工範囲が増えるため、金額的に増えることになります。
耐震補強工事も木工事の一環として計算されていることが多くなっています。

・金属製建具
玄関ドアやアルミサッシの取り替えを行う場合、その部材が計上されます。
木造の場合には、その取り付け費用は木工事に含まれていることが多いのですが、溶接によってサッシが取り付けされている、鉄骨造やRC造などの場合には、サッシ取り付け専門の溶接工がその工事に当たるため、費用がかなり高くなる場合があります。
インナーサッシなどの取り付けもこの項目に含まれていることが多いです。

・木製建具工事
室内ドアやクローゼット扉など、木質の扉材などが計算されます。
規格品の場合には比較的安価なものが出ていますが、デザイン的なこだわりなどで高さや幅を特別にオーダーする場合などは割高になります。

・金属工事
先ほどの金属製建具以外の金属製部材などが計算されます。
ベランダの手すりや物干し金物、テラス屋根などの計画がある場合には出てきます。

・左官工事
基礎に関連した土間の仕上げや家の外部の犬走と呼ばれるコンクリート部分などの仕上げが必要な場合に出てきます。
工事内容が少ない場合など、基礎工事に含まれて記載されることもあります。

・タイル工事
タイルによる仕上げの工事が計画されている場合に計算されます。
最近では浴室やキッチン前などの施工が少なくなっていますが、玄関土間やポーチ部分などでは今も多く使われています。
また、装飾用のインテリアタイルを壁の一部に施工するケースもあります。

・内装工事(内部塗装)
主にクロス工事について記載されています。
ビニールクロスは一般的に、量産品と1000番台(呼び名は様々です)に大きく二分され、単価が違っています。
量産品の質が悪いという訳ではなく、メーカー側でデザインを絞り込んでおり賃貸マンションなどの張り替えなどによく利用されているものと考えれば良いと思います。
輸入クロスや紙クロス、布クロスなどの特殊なクロスもありますが、納期の問題やビニールクロスと比較して施工難易度がかなり必要になる点からも、採用については十分にリフォーム会社との相談をしておく必要があります。

・住宅設備機器
システムキッチンやユニットバス、洗面、トイレといった設備機器の費用が記載された項目となります。
特にキッチンやユニットバスについては、メーカーによる施工が一般的となっており、保証の観点からも商品と取り付けは一括して発注した方が安心です。
リフォーム会社によって得意とするメーカーや割引率が異なっていますので、会社を決定する前に商品の内容についてもよく確認しておく必要があります。

・給排水設備工事
上記の設備機器を接続するためには、給排水設備の位置変更が必要になります。
例えば同じ位置で取り替える場合でも、メーカーや商品によって給水・給湯・排水の位置はそれぞれに決まっていますので、既存の配管をそこに移動していく必要があります。
リフォームの場合は、通常外部の排水等は既存のまま利用されることになりますので、流れが悪かったり、よく詰まる様な場合には、あらかじめその修繕についても費用を出しておいてもらう必要があります。
外部の工事が発生すると、土を掘って配管をやり直す様な工事になることがあり、費用が数十万単位で増えることもあります。

・電気設備工事
築年数が古い場合などには、配線のやり替えも必要になりますし、間取りを変える場合には、スイッチ・コンセントの位置が大きく変更されるケースもあります。
それらの計画について計算される項目となりますが、契約時点では詳細な電気打合せまで至っていないことが多いため、見込みとしての概算金額が計上されていることが多い部分です。
特に電気容量を増やす必要がある場合には、電力会社への申請手間や分電盤の取り替えなどが必要になるため、どこまでの内容が含まれているかを確認しておく必要があります。

・ガス工事
ガス工事がある場合、その配管費用などが計算されます。
都市ガスの工事については認可事業となっており、認定工事店でしか工事ができないため、直接工事店への支払いとなるケースもあります。
別途項目として記載されたところに、このガス工事が入っているのかどうか、またどれぐらいの金額が必要になるのかはあらかじめ確認しておく必要があります。
ガスの配管以外にも給湯器や床暖房などのガス設備機器がここに記載されるケースもあります。

・外構工事
家の外部の庭や駐車場、門扉やアプローチ部分などの工事がある場合には、ここで計上されます。
駐車場を新設する場合などには、外構工事も大きな金額になる場合があり、特に傾斜地などでは家以上に費用がかかる場合もあります。

・仮設工事
仮設工事には直接家の部材としては関わらないものが計算されます。
例えば、足場の費用・ガードマン・仮設トイレ・養生費(仕上がった部分や残す部分の保護)・工事後のクリーニングなどがあります。
会社ごとの施工姿勢や工事の進め方などが反映されている部分でもありますので、詳しく説明を聞いておきたいところです。
特に工事中の職人の駐車場代は会社ごとに考え方が違っており、見積りに記載されていない場合がありますので、事前に確認が必要です。

・諸経費
現場と本社とでそれぞれ経費の管理をおこなう建築業界では、工事費以外に諸経費を計上する習慣があります。
工事費以外にかかる費用としては、事務手数料や交通費、工事保険料、本社の経費(広告費なども含)などがあるのですが、個別の現場毎に換算することができないため、一般的には工事費×〇%という形で記載されます。
(打合せ回数が多くなったから諸経費が増えます、ということはまず無いと思います。)
全面リフォームで多く見られるのは、10~15%といった価格帯ですが、諸経費の数値はあくまでも会社ごとに設定しているものですので、その大小だけで判断をすることはできません。
諸経費にどういった費用が含まれているのかは、見積りの説明を受ける際には聞いておいた方が安心できるかと思います。

 

≪全面リフォームのお金の事はこちら≫

見積書によく記載されている工事項目について説明をさせていただきましたが、
もちろん、工事の内容によって他の項目が入ってくる場合(セキュリティ工事や太陽光発電設備工事など)がありますので、やはりその内容についてはしっかりと説明をしてもらった方が良いでしょう。

実はリフォーム会社の担当者としては、これだけの細かな項目のひとつひとつを説明しても理解してもらえないケースが多いので、説明を省略してしまう人が多いのです。
ところが、各社の説明があいまいなままでは、見積書を比較検討して判断することが難しくなります。
その結果どうなるかというと、見積書の総額だけで判断してしまう、ということが起こるのです。
見積書の総額というのは、どこまで打合せが細かく詰められているかによっても大幅に変わります。概算で、必要な工事項目がたくさん抜けた状態だったとすると、一見安く見えた見積りが実は最も高かったということも起こり得る訳です。

リフォーム会社ごとに書式の違う見積書を読み解くのは大変な作業ですが、打合せした内容がしっかり記載されているかを確認する上でも、やはり妥協せずにしっかりと見きわめをしていただきたいと思います。

Kousuke Kitamura

≪大規模リフォームその他の虎の巻はこちら≫
Copyright © Reform Compass All rights reserved.

「リフォームで失敗しない為のお得な話」を無料でお届け!

利用規約に同意の上、メールアドレスを入力してご登録ください