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マンションのリフォーム会社選び

マンションのリフォーム会社選び

マンションの大規模リフォームの会社選びはどの様なところが基準になるのでしょうか。
(マンションの場合、建物全体の維持・メンテナンス計画を指す「大規模修繕」という言葉がありますので混同しがちですが、ここでは専用部分の個別のリフォームのことを指します。)

そもそも大規模なリフォームが計画される場合というのは、築年数がそれなりに経過していることが多いので、一戸建ての大規模リフォームの場合などは特に、補強技術が会社選びの大きな観点のひとつになるのですが、マンションの場合には通常は構造部分を触ることが管理規約で禁止されていますので、建物の補強に関する技術はあまり必要になりません

マンションにおける大規模リフォームの会社を選ぶ基準となるのは、間取りの提案金額による要素が大きくなる傾向にあります。
もちろん、同じマンションであっても、例えば水まわりの設備を取り替えるだけのリフォームであれば、金額の占める要素がより大きくなり、その反面、スケルトンリフォーム・あるいはリノベーションと呼ばれる様な、仕上げ材をすべて取り払ってしまって一から内部の造作をやり直す様な工事の場合、間取りの提案力がより大きな比重を占めるという、計画内容による違いはあるのですが、施主の目線はその2つのポイントに絞られてしまうことが多いのです。

では、マンションリフォームには技術力はあまり必要ないのか?ということになりますが、先ほど必要ないと言ったのは、あくまでも「補強」に関する技術に限った話です。実際には施工品質は非常に重要な要素となりますので、気をつけて見ていく必要があります。そして、あまり注目されないポイントであるということも知っておきましょう。

特にスケルトンリフォームの場合には、施工に関する技術力が求められます。
というのも、下地の配置や施工方法・材料の選定においては、例えば断熱性能に影響することが多くなりますし、仕上げ材の選択によって長持ちするものかどうか、あるいは施工の精度が変わってくることがあります。

例えば、少し古いマンションの場合、元々の床の仕上げがカーペットになっていることもよく見られます。
多くの一般の人がその床は水平になっており、壁は垂直に施工されていると思っていますが、実は元々の施工誤差があることは珍しくありません。カーペットの場合、素材に柔軟性と厚みがあるために気づかないのですが、そこをそのままフローリングなどにした場合、家具を置いてみてはじめて床の傾きに気づくということが起こったりします。当然、引き渡しの後になりますから、トラブルになることも考えられます。

元々の施工品質に問題があるとして、その責任の所在をたどったところで、何十年も前に建築されたものの精度を問うのは無意味なことです。むしろ、建築の工程を知っていると、何もないところで木の枠にコンクリートを流し込みながら施工された当時のマンション躯体において、カーペット仕上げが分かっていた部屋の床は、それなりの精度でしか仕上げられていないというのは常識的なことだったりします。それを分かっているリフォーム会社の場合には、事前に床の不陸(水平でないこと)を予見し、下地を修正する工事を盛り込んで提案をしてくれるということになります。そういった提案ができるかどうかが、リフォーム会社の技術力によって差が生じてしまうことになるのです。

次に、大きな意味の技術力として考慮しておきたいのは、近隣などへの対応です。
マンションの場合には、戸建てのリフォーム以上に周辺の家への影響が大きく出る傾向にあります。特に音の問題は顕著で、解体をはじめとして工事期間中の多くのタイミングで、機械工具のコンプレッサーの音や躯体に資材の取り付けをする際の振動音など、コンクリートを伝搬して伝わるために思っている以上の音が周りに伝わります。当然相手方も同じ条件なので、将来のことを考えると「お互い様」になるのですが、生活の中で音や振動を感じながら過ごすのはやはりストレスが生じます。施工業者には、せめて時間や適切な声がけなどの配慮がとても重要になる訳です

また、マンションの場合には管理組合の存在があり、それぞれのマンションごとに独自の管理規約という規則が設けられています。使用する素材について言及されていることも珍しくはなく、そのほとんどが管理組合への事前申請が必要となっていますので、そういった点でも施工業者の経験と対応力が求められることになります。

例えば、多くの車が出入りをする資材の搬出入において時間やルールを守らなかったり、共用部の廊下やエレベーターを適切に養生(汚れや傷かを防ぐための保護)をせずに施工を進め、実際に汚してしまった場合、補修や対応をしてくれればまだ良い方ですが、完全に職人任せで工事を進める様なリフォーム会社や工務店だった場合には、職人が「自分のせいではない。やっていない。」と言い張ってしまうと、結局近隣や管理組合とのトラブルになることすら考えられます。そしてその結果、業者は工事が終わればそこから居なくなってしまい、矢面に立つことになるのは、そこに住む自分自身だったりするのです

 

このように、マンションの大規模リフォームにおいては間取りの提案や金額について注目しがちなのですが、施工品質や近隣対策といった総合的な技術力は欠かせないスキルになります。ところが、躯体に関する工事がないというマンションならではの特性が逆にあだとなり、本当に数多くの会社が参入しています。おそらくマンションリフォームにおいてその技術力を見きわめるためには、これまでにその会社がどの様な工事を手掛けてきたのかという実績からの判断が中心になるかと思います。ぜひ、しっかりと確認して、より良い比較検討をしたいものです。

Kousuke Kitamura

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