間取りを変えるような大規模リフォームの場合、その要望のひとつに
「引き戸に替えたい」
というものがよくあります。

引き戸ではないものといえば、いわゆるドアと呼ばれる開き戸がメインになりますが、
開放して風を通したりしようとするには、ドアストッパーをつけておかなければならなかったり、
ちょっとだけ開けておくということが難しかったりします。
また、ドアに比べると場所をとらないという意味でも好まれるのだと思います。

ところが、すべてのドアを引き戸に替えようとすると、なかなか問題になったりします。
一般的な引き戸は扉本体がすべり込んでいく場所が必要で、
その部分は柱を抜いたり壁を薄くしたりする工事が必要になるのです。
大規模リフォームであれば、間取りを変えたりすることも多いので、
この手間が問題という訳ではありません。
実は、こうした柱を抜いたり、壁厚を薄くしたりすることで、
家の耐力壁になり得る壁が著しく減ってしまうこともあり得るのです。

柱や壁が減ってしまうということは、家の全体的な耐力を低下させたり
また、バランスも悪くなってしまうことも考えられます。
きちんと対応してくれる会社であれば、耐震上の診断もしながら、上手に引き戸にするプランを
つくってくれることもあるかもしれませんが、
うっかりそういった補強面に弱い会社に、安易に引き戸の提案を求めてしまうと、
家の強度を無視して言う通りの引き戸プランを出して来るかもしれないのです。

引き戸は前述のように、開閉のしやすさや風の通しやすさなどの面で
便利な建具ではあります。
ただし、その便利さも当然家が丈夫でしっかりしていることが前提ですので、
構造的な部分を無視して提案をされてしまっては困ります。
まずは耐震的な構造面でしっかりと提案してくれる会社であることを前提に、
「可能であれば引き戸にしたい」
という形で要望されると良いと思います。

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