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耐震補強はどこまですべき?

耐震補強はどこまですべき?

木造住宅の全面リフォームや大規模リフォームでは、耐震補強が計画の中に取り入れられることが多くなります。
これは、築年数が古い建物、具体的には昭和56年6月から施行された新耐震基準以前の場合には特に、古い耐震基準で設計されているため、大きな地震が来た場合に備えておかなければならない、ということになるからです。

一方で、そもそもなぜ耐震補強をしたいのかという話になると、実はその理由はさまざまです。
家の傾きが気になりだした、窓が閉まらなくなってきた、などの様に建物の劣化や変形など具体的に気がかりな部分が出てきているということもあるでしょうし、過去に大きな地震を経験されている場合や、単純に家が古いために常に不安を感じている場合など、人によってそれぞれに感じている思いや不安などがある訳です。
こういった背景を考えた場合に、「では、耐震補強というのはどんな家でも均一のものなのか?」という疑問も出てくるのではないかと思います。

もちろん、耐震の基準という場合には確立されたものがあります。
特に都市部に大きな被害をもたらした阪神淡路大震災を機に平成7年に制定された「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」がそれにあたり、これまでに改正によってバージョンアップが図られています。
それを受けて、各地方自治体でも耐震の助成金が整備されることになるのですが、建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針(平成18年国土交通省告示第184号)などを元に補強方法や既存建物の判断など、審査されることになっています。
例えば耐震助成金を利用する場合などは、特に指針に基づく補強計画が必要になりますので、「耐震補強」という意味では、家全体の補強が必須となるケースがほとんどだと言えるでしょう。

ところが、最初の話に戻るのですが、「耐震補強をしたい」と初めから考えている人ばかりではありません。
全面リフォームともなれば、当然耐震補強をすべき、という意見が多くなるのは当然ですが、例えば全面的ではなく一定規模の大規模リフォームだった場合(残す部屋がある場合など)、国の基準通り1.0という耐震評点を必ずクリアさせなければならないか、といったところにおいては、必須とは言い切れないところも出てきます。新築時の様に自治体に建築確認申請を事前に提出して審査を受ける義務の場合を除いて、リフォームの多くは申請の義務を伴わない場合も多く、本来どこまで家を強くするかというのは、施主の希望や工事ボリュームの要望などによって変わってくるはずなのです。

例えば、築年数が古く瓦葺きの立派な屋根が乗っている様なお宅の場合、家の重量は「非常に重い」という条件になりますから、それに伴う1・2階の壁の補強箇所は相当数が増えることになります。屋根の傷みがある場合には、その軽量化も含めて視野に入れた提案がされるかとは思いますが、瓦自体はかなり長持ちをしますので、屋根を残したまま全面リフォームをしたい、という希望される場合も少なからずある訳です。

そういった場合に、耐震基準だけを前提として提案をする会社の場合、望みもしないのに屋根の葺き替えを提案されることになります。おそらく、予算も大幅にオーバーした、実現不可能なプランとして目の前に提示されることになる訳です。
一方で、耐震評点はあくまでも指標としてとらえつつ、家の状態や計画範囲・予算にあわせた補強方法を提案してくれる会社もあります。例えば、先ほどの屋根の例で言うなら、「屋根を残した状態での補強となるので、現時点では0.7までしか耐震評点は上がりません。ただし、将来的に屋根を軽量瓦などに葺き替えされた場合、自動的に国の基準1.0を超える様になります」という様に2段階での補強計画を提案される様な場合がそれに当たると言えるでしょう。

もちろん、いつ大地震が起こるかは分からないことを考えると、早い段階で万全の備えをしておくことは決して間違っている訳ではありません。ただ、それを判断し計画の方向性を決めるのは、最終的には施主ということになります。リフォーム会社に求められるのは、施主がきちんと判断できるように、しっかりと情報を提供し、プロとしてのアドバイスや提案をすることだと思います。

ところが、実際にリフォーム会社の耐震提案を左右しているのは、会社というよりは担当者の能力による部分が大きいということはあまり知られていません。リフォーム会社によって耐震技術をもっていない場合も少なからずあるのですが、それは別として、リフォーム会社各社にはそれぞれ耐震診断の基準やシステムなどを備えています。もちろん、提案の方向性として補強をする以上は耐震評点1.0を絶対に超えなければならないと決めているところもあるかもしれませんが、実際に診断を行い、補強提案を作成しているのは営業設計の担当者であることが大半です。むしろ、その担当者による受け止め方や補強提案の仕方によって、提案される計画自体が大きく変わる可能性があることを知っておくべきかと思います。

例えば自治体にもよりますが、昭和56年以前の建物であることを前提として、評点0.7以上(本来の70%の耐力)であれば助成金の対象となる場合もあったりします。つまりリフォームの場合には、どこまで補強をすべきかは決められたものはなく、専門家と相談しながら自分に合った方法や程度を決めていくのが正解なのかもしれません。そういう意味でも、自分たちの思いや考えをしっかりと受け止め、提案してくれる担当者との出会いが大切になってくると言えるでしょう。

リフォームコンパスは、担当者を指名しながらご紹介をさせていただいていますので、より良い比較検討をしていただけるのではないかと思います。お気軽にご相談をいただけたらと思います。

Kousuke Kitamura


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